純正オプションのメーターバイザーは車両といっしょに注文し最初から取り付けていたのだが、ちょっと前から、バイザー・エクステンションというか延長シールドというか、後付けの小型スクリーンが欲しくなっていた。本家と思しき ワンダーリッヒ ERGO-VARIO アジャスタブルスクリーンスポイラー は1万8000円もする。おそらくSV650メーターバイザーとの組み合わせではあまり効果の期待できないものに、そんな大枚ははたきたくない。そのコピー商品と思われる中華製の ONGMEIL クリップスポイラー は造作があまり良くないとの評判。いずれも、一旦角度がキマったら以後そうそう動かさないであろうクリップ部が妙にデカくて不格好なのも気に入らない。そういえば素材ストック箱にアクリル板とアルミブロックの余りがあったのを思い出して、自分で作ってみることにした。 アルミステーの削り出しには丸2日掛かり、ほとほと疲れた。なにせ、万力に金ノコ、ヤスリによる人力削り出しだ。素材は大昔に買った 50x20x300mm の延べ棒(2560円とマジックで書いてあった)で素性を忘れていたが、素アルミでなくA5052か何からしく、そうやすやすとは削れてくれない。まあ、それだけ強度があって使う上では安心だ。参考までに言うと、削り出しのスタート地点は、それを幅11mmに切断したブロックだ。結果的に、アルミステー座面からのバイザーアームの立ち上がりは約15度となった。 アクリル板は3mm厚の「アクリサンデー」。仮の薄板で作った型紙をバイクに当てながら、最終的に写真の形状に決めた。ちなみに全高は120mm、全幅は236mmだ。外形を仕上がり寸法より全辺1mmほど大きめにカットしておいてから、熱を加えてメータバイザーに沿うように湾曲させる。アクリルの変形温度は160〜170℃なので湯では不可能。ちょっと頭をひねって考えたのが「ホットプレート+サラダ油」作戦だ。これがじつにウマかった。ホットプレートの温度ダイヤルをセットし、ひたひたのサラダ油にアクリル板を暫く泳がせていると、板全体がグミかゼリーか生イカかという感じにぐんなりとしてくる。冷却時の治具としては、たまたまちょうどいい曲面を持っていた運動用のバランスボールを利用した。ボールのほうが熱にやられてしまわないよう使い古しのトレーナーを乗せて断熱。だらりとノボセたアクリル板をトレーナーの上に寝そべらせて、冷ましながら曲がり具合を整えてやる。冷ましては現物合わせ「ん〜曲がりすぎ」、温めなおしてまたトライ...と繰り返すこと三度目でやっとそれなりの形状に行き着いた。ひと回り大きめにカットしておいたのは、加熱で多少シャープさを失うエッジを、最後にヤスリで仕上げるためだ。 構想通りに、メーターバイザーにもφ5mmの穴を開け、ホダカで買い揃えておいたM5のボタンヘッドボルトとナイロックナット6組で組み付ける。ドレスアップの面では、充分に満足のいくものとなった。風防としての効果は...さっそく高速に乗って試したが、ヘルメットシールド面への風当たりが気持〜ち和らぐ程度。羽虫の多い田舎道では、背中を丸め気味にして頭を下げるとバグガードとしての効果がやっとあるかないか、くらいだ。あと、走行風とマシンのバイブレーションで純正メーターバイザーがしなってスクリーンが縦に若干振動するが、ノイズが出たり損傷や脱落が危惧される程ではない。 |
もう少しだけ整流効果を高めてみたくて、ステーもシールドも新たに作りなおした。アルミステーはシールド面の立ち上がり角を3度上げて18度に設計。シールドは全高を30mm広げて150mmとする分、重量を増やさないよう2mm厚アクリルに変更した。アクリル板の曲げ加工にも慣れてきた。相変わらずの「ホットプレート天ぷら工法」だが、部分補正には北京ダックよろしくオタマで流しかける技法もアリだと分かった。 整流効果は多少向上したような気がするが、ん〜、スタイルだけでいえばシールドの縦横比は1stエディションのほうがカッコイイかな。 |