Stray Penguin -実録 SV650 ABS ブログ-

メンテ & カスタム

チェーンたるみ測定器 [2020/8/10]

これまで何十年、チェーンの遊びは、手近なめがねレンチの柄などを目安に見当をつけたり、指金や定規・メジャーを使うにしても不安定に差し掛けて測ったりしてきたので、たるませすぎか張りすぎじゃないかといつも不安が付きまとっていた。突然思いついて、チェーンたるみ測定器、かっこよさげに言うとチェーン・スラック・メジャーを製作した。材料はほとんど有り合わせ。SV650の楕円断面のスイングアームに合うように溝を掘った白木の角材に、三角定規を接着し、今回唯一の購入部材である「面ファスナー配線ベルト」(ダイソー)をタッカー1発で取り付けたシロモノだ。

SV650の場合、下側チェーンスライダーの後端から親指1本幅分後ろ辺りがチェーンスパンの中央。アジャスタースクリューやアクスルナットを緩める前に、その位置にスラックメジャーを取り付け、たるみを測り、取り付けたままチェーン調整をして最後にまた測れば、完全なBefore-After比較になるというわけだ。SV650においては、以下のような手順が出来上がってきた:

  1. タイヤを回転させながら最もチェーンの張る位置を特定してマーキングし、上下振り幅を測定。
  2. 左右アジャスタースクリューを90度緩める。
  3. アクスルナットを緩める。緩めすぎず、ホイールカラーがホイールベアリングからやっと浮くくらいにとどめる。
  4. チェーンのたるみを常にみながら、スプロケット側のアジャスタースクリューを微量ずつ締めていく。たるみが18〜19mmになることを目指す。ブレーキローター側のアジャスターも目盛を合わせる。
  5. チェーンとドリブンスプロケットの間にウエスを噛ませて、リヤホイールが突っ張って止まるところまで回す。2.5kgの鉄アレーを持ち上げるくらいの軽めの力で。これにより、リヤホイール全体がドライブスプロケット方向へ引っ張られ、アクスルシャフトがアジャスターに密着する。さっき弛みを規定の20mmより小さくしておいたのは、ここで前後スプロケ間が少し縮まるからだ。長いことT字レンチのハンドルでやってきたが、ウエスのほうが折りたたみ方で調整もできるしチェーンとスプロケットに優しい。
  6. リヤホイールを逆回ししてウエスを一旦取り去り、たるみを再測定&微調整。21〜22mmを良しとする。
  7. 再びウエスを挟んで、5項より控えめな力でホイールが止まるっところまで回し、足でホイールの戻りを防ぎつつ、アクスルナットを規定トルクまで締める。
  8. ウエスを外し、最終計測。納得いかなければ第2項からやり直しだ。張り過ぎた場合は、3の後に5のウエス挟み回しをやってやればホイールが前へ引っ張られてチェーンがたるんでくれる。
  9. アジャスタースクリューを軽く増し締め。ブレーキローター側を先にするのがよい。スプロケット側は5項でより強く引っ張られているので増し締めの余地がなく、締めすぎてしまう可能性がある。

自信を持ってミリ単位で把握できるというのは非常な安心感だとつくづく。迷いがなく、作業が捗る。どうしてもっと早く思いつかなかっただろうか。スイングアームの形状故に角材に溝を掘らなければならず、おまけに趣味で木肌にオイル仕上げなんか施していたので丸1日かかったが、角ばったスイングアームの車種なら製作などあっという間。三角定規でなく指金(例えば新潟精機のこれ(Amazon))を付ければもっとカッコよくなりそう。...いや、形になってきた時に気付いたのだが、これって完全スコヤ そのもの。早い話、スコヤを買えばちょいと加工するだけでできたのでした、ちゃんちゃん。