iptables は知識のあるなしで大違いのツールだ。別の言い方をすれば、 iptables をフル活用するにはそれなりの知識が必要だということだ。中でも TCP/IP プロトコルには充分に精通している必要がある。
このチャプターは、とにかく TCP/IP についての「必須知識」を解説するために設けた。先へ進んで iptables と取っ組み合うのはそれからだ。ここでは特に、 IP, TCP, UDP, ICMP プロトコルとそのヘッダについてと、それぞれの用途の違い、それに、各プロトコル同士の関係について、駆け足で見ていく。 iptables はインターネット層とトランスポート層で働く。それ故に、このチャプターではそれらのレイヤー [訳者註: 層] にも焦点を当てる。
iptables はより表層のレイヤーで機能することも可能で、例えばアプリケーション層で作用することもできる。だが、 iptables は本来、そうした用途は意図しておらず、そんな使い方をすべきではない。それについては IPフィルタリングとは のチャプターでもう少し詳しく述べることにしよう。