当ドキュメントはリファレンス辞書として使ってもらってもいいし、頭から通して読んでもらってもいい。この文書は、当初は iptables と、少々だが netfilter を紹介するだけの小さなドキュメントだった。しかし、その目的は年月を経て変化し、今では、iptables および netfilter について可能な限り幅広く網羅したリファレンスであると同時に、少なくともこの領域を理解するために必要となる基礎知識を、的を絞って学習あるいはおさらいしてもらおうという内容となっている。断っておかなければならないのは、このドキュメントは iptables と netfilter の内外どちらのバグについては扱わないし、今後も扱うことはないという点だ。同様に、そういったバグへの対処法にも触れることはない。
iptablesやそのサブコンポーネントにバグやおかしな挙動を見つけた時は、Netfilter メーリングリストに上げてほしい。そうすれば、それが本当にバグなのかや、既に修正されているかどうか、答えが得られるだろう。 iptables と Netfilter にもセキュリティ関係のバグは存在し、時たま 1 個か 2 個のバグも紛れ込むことはある。それは避けられないことだ。こういった話は Netfilterのメインページにきちんと書いてあるので、そこで調べていただくといいだろう。
ひいては、このチュートリアルで網羅しているルールセットも、 Netfilter 内のバグを踏まえたものにはなっていないことになる。ここで示すルールセットの目的は、我々が遭遇するであろう課題に対処するためのルールを、なるべくきれいでシンプルにセットアップするやり方を示すことだ。例えば、 HTTP ポートを閉じる方法は扱っていない。理由は単純、これは Apache 1.2.12 がたまたま持っている脆弱性の問題だからだ (実際のところ網羅しているのだが、それは別の理由から)。
このドキュメントは、iptables をこれから始めるに人たちに質の高いシンプルな下地を提供することを目的としている。しかし同時に、iptables について可能な限り幅広く網羅するよう努めている。この文書では patch-o-matic に含まれるターゲットやマッチは網羅していない。理由は単純で、patch-o-matic リストのアップデートに合わせていくのは大変な労力だからだ。 patch-o-maticアップデートに関する情報が知りたければ、 patch-o-matic に付属する info や、 Netfilterのメインページに載っている他のドキュメントを読んでほしい。
漏れている項目や、iptables と netfilter に関する間違いや問題点を見つけた気がしたら、気兼ねなく知らせてほしい。僕は喜んで目を通すし、不足している事柄は追加させていただくかもしれない。