Windows Vista ダウングレード記

はっきり言って、ここは Linux とはほとんど関係のない話。 Windows Vista Business のプレインストールされたPCを、XP Professional にダウングレードした時の記録だ。これじゃ、「どんがらりん」でなく「どんがらうぃん」だが、誰かの役に立つかもしれないのでシタタメておくことにした。

Windows Vista がリリースされてもう暫く経つが、PC をほうぼうのイントラネットに繋ぐ必要のある場合や、愛用してきた「ちょい古」アプリを使い続けるためには、新しいPCを XP で使わなければならないこともある。そんな時のために、Windows には ダウングレード権 なるものが存在する。最近筆者の身の上に起こったことが、まさにこれだった。仕事使いのノートPCを買い換える必要が生じ、新マシンは諸事情により Vista Business プレインストールモデルにならざるをえなかったからだ。

この時の機種は Panasonic の Let's Note T5 の 2007年夏モデル CF-T5AW1BJR。当ページでは機種固有の情報も交えるが、一般的に通用する内容もかなりある。

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VistaからXPへのダウングレード

Microsoft の提供している「ダウングレード権」は、Vista のどのグレード (Home, Business, Ultimateなど) でも XP にダウングレードできるわけではなく、いくつかの制約がある。詳しくは「Microsoft Windows Vista : Windows Vista のダウングレード権 (旧バージョンソフトウェアの使用) について」を参照していただきたい。

ダウングレード権のキーポイント;

パーツショップでマザーボードか何かを買って OEM(DSP)版の Vista Business を手に入れたら、それはダウングレードの対象になるか -- ならないらしい。MS がダウングレード権を認めているのは、MS と所定の契約を結んだ有名ベンダーなどによってプリインストールされたものに限られるようだ。パーツショップオリジナルPC などは、Vista プレインストール状態で買ったとしてもダウングレード権が認められない可能性が高いので、よく確認して計画を立てよう。
後日追記: 最近 (2009/11) 再度「Microsoft Windows Vista : Windows Vista のダウングレード権 (旧バージョンソフトウェアの使用) について」にアクセスしてみたところ、内容が改訂されていた。DSP版でもダウングレード権を認めているような書き方がされている。

準備

自分の持っているXPはダウングレードに適合するか

SP2 未適用 のXPは新PCにインストールできないことがあるらしいので、事前に充分情報を集めておくこと。

Vistaへ戻せる確証を得ておく

最近のメーカー製PCは、リカバリイメージをハードディスク上の隠しパーティションに持っている「ハードディスクリカバリ」がほとんど。リカバリパーティションについての一般的な留意点を挙げておくと;

Vista では、boot.ini を使わずファイルシステム上とレジストリ上の両方にブートパラメータを保持するようになった点など、ブートの仕組みが 2000/XP とは異なっている。Vista のブートローダーはもはや Ntldr.exe でなく、 Bootmgr.exe である。これに伴い、boot.ini を直接編集してブートをカスタマイズするというこれまでの手法は使えなくなり、代わりに、BCDEdit というユーティリティを使用しなければならなくなった。 BCDは Boot Configuration Data の頭文字。 BCDEdit.exeC:\Windows\System32 にある。
HD換装というアプローチ

別のアプローチとして、HDを換装して、元のHDは外して保管しておくという手もある。ただし Let's Note の特定のモデルでは、2.5インチでありながら 3.3V駆動という特別仕様のハードディスクが採用されていることがあるので注意を要する。そのへんの話は先達に任せる。

筆者もバラしてはみた。分解してみて気づいた Let's NoteT5 (CF-T5AW1) 特有の本体構造と注意点を幾つか挙げておく;

ネジが 5種類以上あり、しかも同じようなネジ頭でもタップビスと通常のスクリューが混じっているので、組み付けの際に入れ違わないようメモをとるか分類しておくこと。 ゆるみ防止のためネジロック剤が必需。というのは特に、キーボード固定の役目をしているネジは、強く締めすぎるとキーボードがタワんでいやな感じになるからだ。それらは通常の適正トルクに比べ70~80%程度の力にとどめなければならない。かといって弱すぎると、キーボードが押さえつけの役目をしている CPU/チップセットヒートスプレッダの圧着が不足するおそれがあるため、微妙な力加減が必要だ。
一般的なノートPC同様にキーボードを最初に外すが、ネジ以外に、バッテリースペースにある 2カ所のアルミ製クリップ でも留められている (赤い矢印で示した部分)。また、パームレストを外す時のために、導電(?)テープも剥がしておかなくてはならない (青矢印で示した部分)。 パームレスト右端のパーツ (赤く網掛けした部分) は素材が特別に柔らかく、構造上タイトに固定する必要もないので、ネジ (タップビス) の締め付けトルクはかなり控えめにしないとバカねじになりそう。
キーボードを外す際には、パームレストのキーボード枠部分の右側 2カ所にフックがあるため、左側から持ち上げていく。 キーボードは薄いので取り外しの際に歪みが生じやすい。補正してから取り付けないと、どこかが浮いていやな感じになる。

XP用のデバイスドライバや標準アプリケーションを集める

XP用のドライバやアプリケーションが入手できる目処が立たないまま作業を始めると、結局動かなくて骨折り損となる可能性が高い。対象の機種に企業向けモデルが存在する場合には、マシンメーカーからダウンロードできる公算が大きい。

CF-T5AW1BJR にはビジネス向けバリエーションが存在し、CF-T5AW1AXS というXPプレインストールモデルのドライバ/標準アプリケーション一式が使える。ただし、それらのダウンロードファイルは、BIOSか何かに刻まれた機種コードを照会する特殊な自己解凍書庫になっており、対応機種上でないと解凍できない(※0)。少なくとも `CF-xxx' 程度まで同じ機種でなければならないようだ。

ダウンロードしたファイルは、ダウングレード直後の XP でも確実に読めると思われるメディアに保存しておかなくてはならない。暫定ドライバで動いている XP では LAN は機能しないかもしれない。内蔵のCDドライブは認識できないかもしれない。昨今もっとも確実なのは、USB接続のRAM媒体 (USBメモリキーやコンパクトフラッシュあるいはSDカード) ではなかろうか。併せて CD にも焼いておくと安心だ。

※0 Lhaplusという解凍ソフトを使うと対象機種以外でも解凍できることが分かった。この手はダウングレードに先立ってアーカイブの内容を確認するには有用だ。しかし、実際のインストール先マシン上では、正規の方法で解凍しないと見当違いな機種のドライバをインストールしてしまうおそれがありお勧めできない。

※ Panasonic Let's Note の SDカードスロットに関する注意:
CF-T5A をはじめ、この世代の Let's Note の内蔵SDカードスロットは、Win XP では SDHCカードは読めないらしい。SDHC規格のカードを読むには XP対応ドライバの付属する外付けカードリーダーを入手接続しなければならない、という内容がサポートサイトに掲載されている。(=> ある時気付いたら、いつの間にか SDHC が読めるようになっていた。しかし、インストールしたての WinXP で読めるかどうかは不確か)

入手できそうにないファイルのバックアップ

まだ確証はないが、Panasonic Let's Note の場合、オンラインマニュアルの一部がモジュールとして提供されていないようだ。ダウングレード前に c:\util\manual\ を媒体に書き出しておくことをお勧めする。

旧パーティションの既存データは読めないかもしれない

Vista上で複数のパーティションを利用してきて、 XPインストールの際に C:ドライブだけフォーマットしようと思っている人は注意が必要だ。残したパーティションの中に、読めないフォルダやファイルが発生する可能性がある。

筆者の経験したケースを語っておこう。購入直後に、Vista がどんなものか味見する程度に使ってみた後、添付のDVDからリカバリを行った。ダウングレード用ドライバを保存するために、ディスクを C: と D: (ともにNTFS) に分けるのが目的だった。そして XP へのダウングレードを実行したのだが、Vista で NTFSファイルシステムに仕様変更があったからか、権限のマネージメントに何かあるのか、マイドキュメントの移動先として使っていたフォルダなど、D:ドライブ上で権限を少々絞り上げておいたフォルダが、XPからアクセスできなかった。もちろん暗号化などしていないが、 Administrator でログインしてもアクセスが拒絶された。当該のフォルダは削除も不可能。仕方ないので D:ドライブを XP上でフォーマットして改めてフォルダの構築をやり直したという顛末だ。

というわけで、ダウングレード前に、NTFS上にあるユーザファイルは NTFS属性の保持できない場所 (FAT32ディスクや、ISOつまりCDなど) へ逃がしておき、XPインストールの時には全ての NTFSパーティションをフォーマットし直すようにしたほうがいい。

もしかすると、フォーマットしなくても、ディスクを Linuxマシンへ物理的に装着して、NTFS-3G でマウントしていじってやれば何とかできたかもしれない。NTFS-3G はGNUライセンスで公開されている第3世代のNTFS操作パッケージ (中心はカーネルモジュール) で、NTFSファイルシステム上のオブジェクトを Linux上でほぼ完璧なかたちで読み書きできる。Fedora Core 5 以降なら extras レポジトリで RPM も提供されており、yum で簡単にインストールできる。

ダウングレード手順の実際

筆者の場合、XPのインストール媒体はOEM版。ボリュームライセンス版の場合は手順が異なるらしい。ちなみに、これを行ったのは金曜日の昼間(午後)だった。

  1. 通常通りXPの媒体からブートしてインストールを始める。
  2. プロダクトキーの入力ステージでは、プレインストールされていたVistaのキーではなく、自分の持っているXPのプロダクトキーを入力する。
  3. 「ライセンス認証の手続きを行うことができる回数を超えました」つまり既に使われているとの由により、インターネット経由のアクティベーションに失敗する。
    ※ 読者の方から、ここでは敢えてアクティベーションを保留にしておき、ドライバをインストールした後でアクティベーション (下記行程 4 から) を行ったほうがいいのではないかというご意見をいただいた。筆者はそういうやり方をしたことはないが、そういう考え方もあるかもしれない。
  4. スタートメニュー => すべてのプログラム => システムツール => Windowsのライセンス認証 を選択する。
  5. ライセンス認証のウィザード内で、ライセンス認証用窓口に電話して... を選択する。
  6. 画面に表示されている電話番号に、プッシュトーンが出せて折り返し連絡を受けることの可能な電話機から電話をかける。同電話番号はMicrosoft のページ「Microsoft Windows Vista : Windows Vista のダウングレード権 (旧バージョンソフトウェアの使用) について」 の「ダウングレードの後のライセンス認証はどうなりますか?」 の項にも掲示されている。執筆時点(2007/7/10)では、窓口は24時間年中無休とのふれこみになっている。
  7. 電話は一発ですぐにつながった。序盤は機械による応答。アナウンスに従い、用向きの種別番号、ライセンス認証ウィザードの ステップ3 に示されている インストールID を気長にプッシュしていく。
  8. 「入力したインストールIDは無効。オペレータにつなぐか?」という旨訊かれるので、肯定を示す番号をプッシュする。ここからはオペレータ(人間) による対応となる。オペレータにはすぐにつながった。どーでもええことだが、いかにもサポートオペレータといった感じの女性であった。日本語だ。
  9. こちらから「XPへのダウングレードである」旨を伝える。インストールID を尋ねられるので、口頭でまた伝える。「確認に少々時間がかかる」との由で折り返し連絡待ちとなり、一旦電話を切る。
  10. 数分後に折り返しの電話がかかって来た。新しいインストールIDを伝えられるので、電話は繋いだまま、ウィザード画面の ステップ4 のところに入力していく。入力後、次へ をクリックすると、完了 の画面となる。「正常に完了した」旨をオペレータに伝えて、めでたく終了。

ついでに、オペレータに幾つか疑問点を尋ねてみた。そのまとめ;

Q. 次回、XPを再インストールする際にも電話によるアクティベーションが必要か?
A. そうなる場合が多いが、やってみないと分からない。
Q. Vistaに戻す時にも電話によるアクティベーションが必要か?
A. 必要でない場合もあるが、必要と考えておいた方がよい。

XP用ドライバ/標準アプリケーションのインストール

これでOSは一応動くようになったわけだが、まだ、デバイスの下位互換性に頼ったとりあえずの状態だ。まずはドライバをインストールしなければならない。(これを読んでいる人たちには低レベルすぎる話だとは思うが) 真っ先に入れなければならないのはチップセット inf だ。入れたら一旦再起動してから、他のドライバをインストール、それから標準アプリケーションをインストールしていく。

Let's Note T5 (CF-T5A) 固有の話

筆者は、提供されている「導入済みドライバ」を、このように分類した。幾らか私見も入っている。各モジュールの役割の包括的な説明がメーカーのページに欠けているようなので「これはなに?」欄に記す。

ドライバ(順序) 必須 これはなに?
(1) OS INF file ドライバー チップセットドライバ。すべてのデバイスの幹であり最優先
(2) Intel(R) Extended Thermal Model ドライバー 熱制御? BIOSのメニューに 温度制御 という項目があり、それを 拡張 にすると「温度の高い環境での使用に適した温度制御を行う」とあるので、その関係と思われる
(3) ビデオ ドライバー Intel チップセット統合ビデオのドライバ
(4) LAN ドライバー 有線LAN (Realtek RTL8139/810xチップ)
(5) フラットパッド ドライバー 内蔵タッチパッドのベースドライバ (Synaptics製)
(6) MS修正モジュール(Q888111) サウンド、モデム、ことによると無線LANにも影響するWindowsパッチ
(7) 無線LAN ドライバー 無線LAN (Intel PROSet/Wireless 3945ABG Mini-PCI-Expressカード) (※1)
(8) サウンド ドライバー サウンド (SigmaTel)
(9) モデム ドライバー ソフトモデム
(10) TPM ドライバー 内蔵セキュリティチップ
(11) Hotkey ドライバー Fn キーの機能の根幹を司るドライバ。このドライバをインストールしないと 不明なデバイス が残って気持ち悪い
アプリケーション 必須/推奨 これはなに?
(12) Panasonic Common Components 以降のPanasonicアプリケーションの幾つかが使用する共有ライブラリのようだ
(13) Panasonic Misc ドライバー 同上
(14) Hotkey Appendix Hotkeyドライバに機能の定義を提供するものと思われる。Fn + F1/F2による画面照度調整などは、これをインストールしないと機能しない(らしい)。また、無線切り替えユーティリティなどをインストールするには必須とされている
(15) 省電力設定 ユーティリティ ビデオ、サウンド、有線LANの省電力パラメータを調整できる
(16) ホイールパッド ユーティリティ Let's Note十八番の円形トラックパッドの機能
(17) USB マウスヘルパー アプリケーション USBマウスが接続されたときに自動的に内蔵パッドをオフにする
(18) SD セキュア DLL ドライバー 内蔵スロットのSDメモリカードを簡易認証デバイスとして利用するためのドライバ
(19) SDユーティリティ アプリケーション 内蔵スロットのSDメモリカードを簡易認証デバイスとして利用する準備をするアプリ
(20) ネットセレクター アプリケーション 有線/無線LANのオンオフやIPアドレス、サブネット、通常使用するプリンタなどをプリセットして簡単に切り替えられるユーティリティ。自動切り替え機能が不要な場合は、インストールはするがスタートアップから外すべし
(21) バッテリー残量補正 アプリケーション バッテリーが劣化してきた時、PC側の制御値を補正して残量表示の正確さを取り戻す
(22) DMIビューアー アプリケーション Desktop Management Interface規格によりハードウェア情報を参照できるアプリケーション。シリアル番号を確認したい時にも便利
(23) PC情報ビューアー アプリケーション インストールされているドライバやアプリケーションの一覧や、バッテリーやハードディスクの状態(温度など)が見られる
  オプション これはなに?
(24) エコノミーモード(ECO)切り替え バッテリーパックの充電を80%までで止めさせることにより、バッテリーの劣化を低減する常駐アプリ。ACアダプタをつないで使用することが多い人にはお勧め。終了させたりアンインストールすると ECOモードは働かない
(25) 無線切り替え ユーティリティ 規則上「屋外では使ってはならない」ことになっている 802.11a の有効/無効を切り替えられる常駐アプリ。屋外でPCを使う機会のほとんどない人には無用だが、身だしなみとしてインストールだけはしておくべきかもしれない。厄介なことにRunレジストリから起動されるので、必要時にだけ起こすようにするには工夫(※2) が必要
セレクティブサスペンドモード変更 ユーティリティ 省電力のひとつだがナゾ。 インストールするとバックグラウンドサービスとして常駐するが、見た目には何も起こらないし何かが能動的に調節できるわけでもない。が、バッテリ駆動の多い人は入れたほうがいいらしい
セキュリティ設定ユーティリティ Windowsのセキュリティポリシーの基本的なところや、ハードディスク保護機能などの設定を手助けしてくれるアプリ。内蔵セキュリティチップを利用したファイル暗号化設定の手助けもしてくれる。ただし、ことダウングレード時に関しては、C:\util\manual\*.hla がないためいちいちエラーメッセージが出る。元のVistaの状態で C:\util\manual をバックアップしておくべきと前述したのは特にこのため
CPU省電力設定 アプリケーション バッテリー優先とパフォーマンス優先とを切り替えるだけ。
[補足情報] バッテリーが経年劣化している場合、バッテリー優先モードにしてあると、AC電源を供給していない時、マシンの立ち上がりが極端に遅くなるなどパフォーマンスの悪化することがあるらしい。情報をくださった Nさん、ありがとうございます。
USB省電力設定変更ユーティリティ アクセスのない時にUSBバスを休止させる/させない の設定
  不要/おじゃま これはなに?
- Hotkey設定 アプリケーション CF-T5Aにおいては Fn キーをロックしたり状態を表示するくらいの役目しかない
- NumLockお知らせ アプリケーション その名の通り。コアなユーザにはおせっかい
- USB K/Bヘルパー アプリケーション USB外付けキーボードを差した時に本体のキーボードを自動的にテンキーモードにする
- ズームビューアー アプリケーション 拡大鏡。もう少し歳をとったら使うかも
- フォントサイズ拡大 アプリケーション もう少し老けたら使うかも
- ワイヤレス投光用 アプリケーション 同社の無線LAN接続プロジェクタ(投光器)を使う時のものらしい

※1

できれば、Windows標準の使いにくいワイヤレスマネージャでなく、Intel のドライバに付属している便利なマネージャアプリを使いたいものだが、標準で提供されている wlan_w5t5r6_442_d070334 (2007/7/10現在) は、ドライバとマネージャアプリとの整合がとれていないようで、PROSet/Wirelessマネージャがデバイスを認識できなかった(ドライバが古いのには理由があったようだ)。一旦アンインストールし、Intel 本家のダウンロードページから最新の PROSet/Wireless Network Connection Software (ドライバとアプリを同梱) をダウンロードしてインストールしたら見事に機能した。(その後、Panasonic のドライバサイト でもアップデート版ドライバが公開された。)

※2

ほぼ屋内使用ばかりの人は、802.11a 無効化ユーティリティ (「無線切り替えユーティリティ」) を常駐させておくのはもったいない。下記のようにすれば必要時だけ手動で立ち上げることができる。以下に出てくる用語や意味が分からない人はやらないほうがいい。

  1. レジストリエディタを起動し、HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Run のバックアップをとる。
  2. 同レジストリの文字列値 WSwitch を削除する。
  3. (これ以下のパスは任意) C:\commands\ フォルダを新規作成し、そこに下記のようなバッチファイル WSwitch.bat を作る。
    cmd /c "C:\Program Files\Panasonic\WSwitch\WSwitch.exe"
  4. 上記バッチを実行するだけだと完了後にコマンドウィンドウが残ってしまうので、間接呼び出し用の WSHスクリプト WSwitch.vbs を下記の内容で作成する。
    Set WSw = CreateObject("WScript.Shell")
    WSw.run "C:\commands\WSwitch.bat",0
  5. WSwitch.vbs そのものかショートカットを、呼び出しやすい場所に配置する。必要な時にそいつを実行してやれば「無線切り替えユーティリティ」がタスクトレーに立ち上がる。ただし、ログオフでもしない限り終了させることはできない。(taskkill コマンドを使えば殺せるだろう)

おまけ: Let's Note T5 の使用インプレッション

筆者はPCを専ら現調や書類作成にしか使わない。マルチメディアだの動画再生だのといった使い方は眼中にない。ここは、そういった或るビジネスユーザのタワゴトだと思って聞き流していただきたい。

ノートPC に関して、筆者はこれまで熱烈な東芝信奉者だったのだが、悲しいことに、Dynabook SS B5ノートの2007年春/夏モデルは間違っている。まず、モニターがどれもワイド比率であること。非ワイドと同じ 12.1インチではあるが、長辺が長くなって対角線長が 12.1インチのままということは、短辺は逆に短くなっており、そこに 800ドットを詰め込むため文字がひとまわり小さくなってしまっている。そろそろローガンなるものの忍び足を感じる人間には辛い。もう一つの大きな問題は、手に入るのがほとんど 1.8インチ 4200回転HDDモデルだという点。 2.5インチHDD搭載の「高速モデル」と称する機種があることはあるが、通販などで出回る数は少なく、タイミングを逃すと、手頃な値段ではほとんど手に入らない。

そこで白羽の矢を立てたのが、Panasonic Let's Note T5 だった。これまで Let's Note を敬遠してきた最も大きな理由だった高飛車な値段は、ネット通販を気長に検索したところなんとかなった。

CF-T5AW1BJR の使用感だが、おしなべて、合格点以上である。

梱包をほどいて手にした時の第一印象では、あまりに軽量で、逆に本体は以前のTシリーズよりも分厚くなっているものだから、風船じみて「チャチい」感じがした。(私の頭の中にあったTシリーズのイメージは、調べてみると実は2005年春以前のモデルだった。) 当代の Let's Note のパームレストは、カタログや写真だと昔のモデル同様のマシニング加工のように見えるが、実際には波形のプレス加工で、それも安っぽく見える原因。とはいえ、1日いじっているうちにすぐに見慣れて、違和感はなくなった。そもそも、本体の分厚さは、耐衝撃、耐圧迫への干渉の役割を果たす内部の空間を確保するためであるらしい。機能美にはほど遠いが、見るに堪えないというほどでもない。筐体がプラスチックだったらもっと悲しいだろうが、実際には「パームレストもボトムシャーシもマグネシウムだもんねー」と自分を慰めることもできる。本体の軽さは、バッテリ (軽量バッテリでなく標準バッテリ) を装着するとずっしりとして、それがかえって、安っぽかった当初の印象を打ち消してくれた。計ったわけではないが、バッテリ装着時の全体重量は、半分がたがバッテリの重さなのではなかろうか。

キーボードタッチは、やや反発力が軽めだが、クリック感があり、東芝 Dynabook SS の 2007モデルの揶揄されているベコベコ感もない。バラしてみるとこのキーボードは基盤が極薄なのだが、その下のシャーシががっちりしているのがよく分かる。キーボードアッセンブリを大理石板の上に敷いて叩いているような印象で、腰のすわった感じがあり、タイピングのインパクトがシャーシに共振したりしないので音も静かだ。Tabキーの幅が狭い点は下調べの時に気になっていたのだが、実際使ってみるとあまり不自由は感じなかった。

やはり 2.5インチ 5200回転HDDは快適である。しかも、CF-T5AW1BJR はオンボード 512MB + 唯一のスロットに512MB のメモリを標準搭載している。デスクトップのアニメーションや飾り付けを取っ払って Win2k ばりの簡素な画面にまでスリムアップしても立ち上がっているだけで 400MB 前後のメモリを喰らう Vista でも特にもたつくことはなかったが、XPにダウングレードしたことで、更にもう快適この上なしだ。

液晶は、やや映像のザラつき感が強い気がするが、評判に聞いていたほど悪くはない。屋外や高温の部屋で長時間作業をする機会はあまりないので、ファンレスである点がパフォーマンスに影響すると感じた経験はない。バッテリー(標準バッテリ) の持ち時間も、私的には不満はまったくない。